自然葬の手続きは?費用はどのくらいかかる?
自然葬とは
近年の人気は樹木葬
自然葬とは遺骨を自然と近い形で埋葬する形のことを言います。
人間は最終的に土に返るのなら、無理して豪華なお墓を用意することなく遺骨を自然に返そう、という意識もあります。
そこでこの形式の埋葬方法が注目を集めるようになっています。
よく散骨と似た意味合いで使われることもあり、
骨を海や山などの自然に撒く形で「埋葬する」形式を自然葬と呼ぶこともあります。
お墓も作らず正真正銘自然に還る形です。ただ自然葬はこの散骨だけに留まらずもう少し広い意味合いで使われています。
とくに近年人気があるのが樹木葬。遺骨を樹木の下に埋葬する方法で、墓標・墓石は作らず樹木が事実上の墓標となります。
自然に還るだけでなく、樹木と一体化するような感覚、自分の遺骨が土に還りながら樹木の栄養分になる。
そんな意識も魅力ですし、何十年、何百年と生きる樹木が墓石代わりになり、時間とともに生長していくイメージも人気を集める要因となっています。
樹木葬も2タイプある
樹木葬と散骨の違いは?
・お墓があるかどうか
散骨:完全に骨を自然に撒いてお墓の形はとらない
樹木葬:墓石や墓標は無いが遺骨を葬った場所が「お墓」として扱われる
※散骨に比べて行う際に必要になる手続きや準備が多くなる
ただし、樹木葬にも2つのタイプがあります。
樹木葬の2タイプ
樹木のそばで骨を巻く事実上散骨と同じタイプ
・お墓は必要ない
遺骨をきちんと埋葬するタイプ
・お墓として使用できる区画をきちんと用意して埋葬する
樹木葬を検討している場合にはこの違いをよく把握しておく必要もありそうです。
樹木葬の場合、「どこまで遺骨を自然に還らせるのか」もポイントになります。
霊園の中には樹木葬のためのスペースを用意・管理しているところも多く、区画を購入したうえで埋葬することになります。
そうした環境が果たして「自然に還る」といえるのかどうか?これは故人の遺志ともかかわってくる部分ですが難しい面もあります。
散骨の場合は骨を撒くだけなので費用があまりかからず、遺族がお墓を管理しなければならないといった問題もありませんが、
区画購入の場合は通常のお墓と大差ない
区画を購入したうえで樹木葬を行う場合にはこうした通常のお墓と同じ問題も出てきます。
こうして見ても散骨と樹木葬とでは同じ自然葬でもいろいろな点で違いが見られることが窺えます。
もし自然葬に興味を持った場合には漠然としたイメージだけでなく、どのような選択肢があります。
それぞれの選択肢ではどんな準備や手続きが必要なのか、注意点はどういった点にあるのかをよく調べた上で検討していくことも求められるでしょう。
自然葬とは
- 自然葬とは自然の中に埋めたり撒くスタイルで、散骨と似ているが散骨より広い意味合いで用いられる
- 近年人気がある樹木葬は樹木の元に遺骨を埋めるスタイルで、散骨と同じく撒いてお墓が不要か、区画を購入してお墓・墓標が必要な2タイプに分かれる
- 区画購入タイプの樹木葬は、通常のお墓に納めるスタイルと費用はあまり変わらない
- どちらのタイプにするかは個人の希望や費用などの手間から、予めきちんと選んでおく必要がある
自然葬の手続きと費用は?
散骨は高くても10万円程度が一般的
自然葬の手続きと費用に関してはどのような形で行うのかによってかなり違いが出てきます。
故人や自分が希望する方法に関する情報収集が欠かせません。
自然葬には大きく分けて散骨と樹木葬の2種類があります。
散骨に関しては火葬した遺骨を業者に依頼して粉骨してもらうのがおもな費用になります。
その後自分で散骨するか、散骨も業者に依頼するかによって違いが出てきますが、3〜5万円程度が一般的な相場、高くても10万円もあれば十分に可能でしょう。
樹木を墓標に見立ててお墓の形で埋葬する一般的な樹木葬の注意点
・区画を購入する費用がかかる
→永代使用の形にするか、管理費はどれぐらいになるのか、各霊園ごとに違い
・遺族がきちんと管理・維持をしてくれるのかも踏まえたうえで検討
散骨の延長か違った形で行うかによって大きな差
砕いて粉状にした骨を樹木の周囲に撒くだけなら基本的に散骨と同程度の費用で済みます。
区画を購入する形式の場合、樹木を墓石や墓標代わりにしたお墓と同じ扱いになるため、樹木葬を扱っている霊園で区画を購入する形になります。
都市部に近いところほど価格は高くなりますし、地方だと安くなります。
樹木とある程度のスペースが必要になるだけに数十万円程度から100万円を超える区画料が発生することも珍しくありません。
数万円程度の散骨と100万円を超えることもある樹木葬では同じ自然葬でもまったく違う形といえるでしょう。
自分が葬儀費用をすべて出せばよいというわけにはいかない部分がある点も忘れないようにしましょう。
樹木葬では埋葬許可証も必要
樹木葬:火葬許可証と埋葬許可証
散骨:火葬許可証、散骨場所によって自治体の許可
更に海や山などに散骨する場合、自治体によっては事前の許可が必要になるケースも見られます。
とくに自然が豊かな北海道や伊豆半島に見られるため、故人の遺志や自分が散骨してほしい場所がはっきりしている場合にはあらかじめ手続きや許可が必要かどうか判断しておきましょう。
散骨場所までの交通費や手配も発生
遺族が自分で散骨する場合にはその場所に訪れるための交通費や交通手段の手続き・手配も発生します。
たとえば海に散骨する場合には船を調達するなど、少々面倒な手続きが伴うので早めに問い合わせや予約をしておく必要があります。
このように自然葬は方法によって費用も必要な手続きも変わってくるため、希望する方法が予算的な可能かどうか、
自分が自然葬をしてもらいたいときには遺族に負担をかけないかどうかも意識しなければならないでしょう。
自然葬にかかる手続きや費用
- 自然葬は散骨タイプと納骨タイプの2つに分かれ、前者は粉骨や散骨を業者に依頼する費用が掛かる
- 業者に粉骨から散骨迄依頼すると5〜10万円程度、粉骨のみだと2〜3万円程度が一般的
- 樹木をお墓に見立てる納骨タイプでは、区画の購入や管理・維持が必要になるので費用が掛かる
- 火葬許可証の他に納骨するタイプでは埋葬許可証が、散骨タイプでは場所によって自治体や所有者の許可が必要
- 散骨の場合は希望の場所までの交通費や交通手段の手続きなどが必要になるので、希望する場合は遺族への負担も考える
自然葬は違法?散骨の注意点とは?
手順や方法によって法に触れる可能性
自然葬は違法かどうか?いざ行おうと思ったときにトラブルに見舞われないためにも基本的な知識を踏まえておきたいところです。
じつは自然葬そのものに関する法律上の定義は存在しません。
関連法律に「墓地、埋葬などに関する法律」という昭和23年に施行されたものがありますが、そこには自然葬に関する記述は見られないのです。
そもそも自然葬に関心が集まるようになったのはここ20年程度のことですから、昭和23年の法律でカバーされていないのはむしろ当然と言えます。
法律に記載されていないなら抵触することもない。そのため自然葬そのものは違法ではないと判断してよいでしょう。
なお散骨に関しては1991年の時点で当時の法務省が「節度を持って行えば違法ではない」との見解を示しています。
自然葬が法に触れる場合
・樹木葬は埋葬許可証が必要
→許可証があっても、遺骨を好きな樹木に埋めると遺棄と判断されて刑事事件に発展してしまう
自宅の庭に木に埋めた場合も、遺棄として違法行為になってしまう恐れがある
・遺骨は必ず2ミリメートル以内の粉状にしたうえで撒く(散骨も同様)
・散骨の希望場所は条例で禁止されていないか
→自治体によっては散骨を条例で禁止していたり、事前に許可が必要なケースも
違反すると罰せられてしまうこともあるので要注意
※自然が豊かな場所の中には私有地のケースもある
ただ「自然葬そのもの」は違法ではないと曖昧な書き方をしました。
自然葬という方法そのものには違法性がなくても、自然葬を行う際の手順や方法が法律に抵触してしまう可能性が出てくるのです。
回りくどい表現になってしまったので具体的に例を挙げてみましょう。
樹木葬の場合、樹木を墓石・墓標代わりに埋葬する形になるため、実際には「お墓」と同じ扱いになります。
ですから埋葬許可証が不可欠となります
樹木葬の場合はこの方法を扱っている霊園できちんと区画を購入したうえで埋葬する形になります。
散骨の場合は条例に違反していないかどうかにも気をつけましょう。
同じ理由で他人の私有地に勝手に散骨するのも厳禁です。
こうしてみても自然葬には事前に注意しておかなければならない面がいくつかあります。
この方法そのものは違法ではなくても、相応しくない方法だと違法行為になってしまう可能性があることを頭に入れたうえで準備や検討していきたいところです。
自然葬の問題や注意点
- 自然葬に関わる法律は制定されておらず、散骨については1991年に当時の法務省が法律上の問題は無いことを示している
- 自宅の木など好きな樹木の下に勝手に埋めたり、遺骨を2o以下に粉骨せずに埋めた場合は遺体遺棄容疑になるなどの問題はある
- 散骨の場合、場所によって条例で禁止されていたり、所有者の許可が下りない場合がある
- 樹木葬の場合は扱っている霊園の下、区画購入や所定の手続きが必要になり、一般的なお墓と同じ扱いになる